The Cuckoo's Nest

幽遊自躑に暮らしております。https://twitter.com/Wintermoth1934

地獄に行く人と行かない人

「仮に地獄のような死後に生前の罪の深さで連れてかれる恐ろしいところがあると仮定して、それは何で図るのか。そもそも罪の深さを図るなどあまり人間的な神ではあるが」

「まず罪とは何かだ。俺は本人が罪、言い換えれば悪を自覚していたにも関わらずそれを行ってしまったかどうかが分岐点だと思っている」

「それは極端な話、強姦殺人を繰り返した男がいたとして、そいつにとってそれは善行とまでは言わなくとも悪行とは思っていなければ地獄にいく理由にはならないということ?」

「ああ、俺はそう思っている。逆にゴキブリを殺す時に罪を感じる人間の方がそいつより重い。愛する妻がいながら他の女性で自慰行為に浸る人間の方がそいつより罪は重い」

「おもしろい意見だな。善人であればあるほど悪さはできないわけだ。その理論だと真の悪人はそこらの善人より死後救われるかもしれないんだね。どんな善人も人に言えない悪行の一つや二つあるだろうからな」

「最期に死ぬ時の自分の意識、どの程度自分が良いことをしてきたか、悪いことをしてきたか、神の審判があるというよりその自己採点のようなものが天国と地獄どちらにいくのか分けるんじゃないかな。でないとおかしな話になってしまうだろ」

「しかし神の人間的な性質を疑ってしまうようなこの世界、結局、善行を重ねて最期己に満足していても特に理由なく地獄に落とされるかもわからんだろ」

「何を言っている。死後にこの生の世界の摂理は反映されないだろう」

「だが神は生の世界も死後の世界も両方の世界に足を掛けている」