The Cuckoo's Nest

幽遊自躑に暮らしております。https://twitter.com/Wintermoth1934

2024-04-01から1ヶ月間の記事一覧

エゴイスト

どうして自分は辛抱というものができないのだろう。 幼少の時分から私は辛抱ができなかった。学習塾に入れられてもすぐ行きたくなくなってしまう。入ったスポーツクラブも一年経たずに怠けたくなって辞めた。 私のこれまでの人生を一言で表すなら「中途半端…

透明なリボルバー

全てが変わってしまった。 当たり前だったものが当たり前ではなくなる。 一瞬にして瓦解し過去のものになる。 悪夢なら醒めよ。悪夢なら醒めよ。 この目を背けたいあまりの現実に魅入られないよう光線の中草花や小さな虫たちを追いかける。嗚呼なんて生きる…

文学

私は自らの心の内を外部に向かってどころか己に向かっても曝け出すことができない。それは私にとって何よりも恐ろしいことだった。 故に私は文学を愛するのであろうか。そこに私の曝け出した心を認めるから。

子猫

子猫が来た。 朝起きたら子猫が僕の家にいた。 ついに狂ったかと疑ったが電話相手に猫の声が聞こえていたから本当にいるみたい。 何だかいつも困った顔をしている。でも別に困っているわけではないようだ。 僕はこの子を可愛いと思えるだろうか。そればかり…

年老いた女がぼくに向かって言う。 お前は決して幸福にはなれない、と。 ぼくは何故か訊く。 すると彼女はぼくに言う。 お前は変態だからだ、と。 ぼくは思う。ああ、そうか。今まで幾度と自身を自身で罵倒してきたが、どうもしっくりきたものがなかった。そ…

高尾山で見た赤い首

あの日、私は高尾山を登った。友人とイボタガという実に美しい羽模様をした蛾を見に行ったのだ。登る途中とても耐えられなくなって吐いてしまった。私はその瞬間嘘偽りなく死んでしまいそうだったのだ。死ねという言葉が脳に響き渡り消えるところを知らなか…

気配

死後も気配は残り続ける。 机の上に物があったり、扉が開けっ放しになっていたりするとアッと思う。二階から一階へ降りる時には足音に注意を払う。愛しいあの子が目覚めてしまわないかと。 それからすぐに思い出す。もう関係なんだ。この姿は正しいんだ。そ…

審判

二人の男がいた。 一人は幼少より神経質のきらいがあり人より能力も劣っていたが心優しい男だった。彼は子供の頃に大人から酷いことばかりされてきた。それも決して口にすることも憚られるような類の非人道的なものだった。そういった過去から彼が神経質にな…

ある老人の目覚め

男は大手企業の新入社員で周りからも期待されている。彼の両親は他の世の良識のある親達と同様彼をこの世で最も愛していて、この子の幸福のためなら命を瞬時に捨てることもできる。彼には学生時代から交際している優しく美しい恋人がいてじきに結婚を申し込…

クズ

気付いた時にはたくさんいた友人が僅かになっていた。 何故? 分かってるくせに。お前の身勝手さ故だろう。 自分にとって正しいことをしていたつもりが実際のところ誤っていた、なんていつまで言い訳するつもりだ。 自分のことしか考えていなかった。理由は…

私は悪夢を見ている 目が覚めたらあの人がいる そしてホッとする 何故なら今まで見てきた無数の悪夢は全てその性質を孕んでいたからだ

躁鬱病分析

私には鬱がある。想えば幼少の時分から鬱病の気はあったが、開花したのは高一、高二の時分であろう。あの頃は自分が世界で一番嫌いでカス同然だと思い、同時に矛盾して親しみのない他人を皆自分以下だと思っていた。(今もか?) そんな私だが、最近になって…

私がアメリカ人だったら

アメリカに産まれたかった 子供の時分からよくそう思った 俺が不幸なのはこの国のせいなんじゃないかって、根拠なんて特になく国のせいにしていた 母国語が英語だったら他の国にも気軽に住めるしそれで幾らでもやり直しが効く 糞みたいな固定観念なのは分か…