死後も気配は残り続ける。
机の上に物があったり、扉が開けっ放しになっていたりするとアッと思う。二階から一階へ降りる時には足音に注意を払う。愛しいあの子が目覚めてしまわないかと。
それからすぐに思い出す。もう関係なんだ。この姿は正しいんだ。そうか、もう私しかいなくなってしまったと。
この家には老人のような私しかいない。
いま私の日々で澄み切った慰みになるものは日光と庭先の小さな虫、あと手入れのしていない植物だけ。
死後も気配は残り続ける。
机の上に物があったり、扉が開けっ放しになっていたりするとアッと思う。二階から一階へ降りる時には足音に注意を払う。愛しいあの子が目覚めてしまわないかと。
それからすぐに思い出す。もう関係なんだ。この姿は正しいんだ。そうか、もう私しかいなくなってしまったと。
この家には老人のような私しかいない。
いま私の日々で澄み切った慰みになるものは日光と庭先の小さな虫、あと手入れのしていない植物だけ。