The Cuckoo's Nest

幽遊自躑に暮らしております。https://twitter.com/Wintermoth1934

2024-01-01から1年間の記事一覧

人が私を気味悪がっている。 だがおそらく人は私を気味悪がってなどいない。 問題は私がそうとしか感じられなくなっていることである。 精神薬を飲み誤魔化して何か意味があるのか。 誤魔化して、誤魔化して、誤魔化して……それが私の人生だ。 私は一人では生…

走馬灯

諸君は今の生活が、人生が、もしや走馬灯ではないだろうかと疑ったことはないか? 私はある。 私たちの今この体験しているものが生者の人生による体験なのか、それとも死の瞬間に見る走馬灯なのかは誰にも分からない。そう、それはあの有名な胡蝶の夢のよう…

青年

ただ一日そしてまた一日が過ぎ去るのみ。 その日、私は21歳の青年だった。しかし、私はある不幸な出来事(通常の人であれば皆通る類のもの)から人生に絶望し、立ち直る事ができなかった。私は大学を中退し田舎に帰って何をするでもなかった。する事といえば…

気分

人の気分ほど良い加減なものはない。 もう死のう何を使ってどこで首を吊るのが適当かと考えていた者がある電話一つでスッキリサッパリしてしまうこともあれば、またその逆に有頂天になっている時にある電話一つでもう死のう何を使ってどこで首を吊るのが適当…

またこの発作だ。夜になると、一人になると、過呼吸になって発狂を求める。 なぜ気が狂わない。俺は気が狂って欲しいんだ。気が狂って閉鎖病棟で一生を終えたいんだ。もう人に不幸をもたらすのも嫌われるのも失望されるのも大事なものを失うのも俺には耐えら…

遺書について

これから死ぬかも分からないこの世界で何故人は遺書を認めないのだろう。何も遺書は自殺者のみに許された権利ではない筈だ。 皆、自分が死ぬなどとは夢にも思っていない。今これを読む君の所に飛行機が墜落するとはやはり信じられんのだ。かく言う私も遺書を…

エゴイスト

どうして自分は辛抱というものができないのだろう。 幼少の時分から私は辛抱ができなかった。学習塾に入れられてもすぐ行きたくなくなってしまう。入ったスポーツクラブも一年経たずに怠けたくなって辞めた。 私のこれまでの人生を一言で表すなら「中途半端…

透明なリボルバー

全てが変わってしまった。 当たり前だったものが当たり前ではなくなる。 一瞬にして瓦解し過去のものになる。 悪夢なら醒めよ。悪夢なら醒めよ。 この目を背けたいあまりの現実に魅入られないよう光線の中草花や小さな虫たちを追いかける。嗚呼なんて生きる…

文学

私は自らの心の内を外部に向かってどころか己に向かっても曝け出すことができない。それは私にとって何よりも恐ろしいことだった。 故に私は文学を愛するのであろうか。そこに私の曝け出した心を認めるから。

子猫

子猫が来た。 朝起きたら子猫が僕の家にいた。 ついに狂ったかと疑ったが電話相手に猫の声が聞こえていたから本当にいるみたい。 何だかいつも困った顔をしている。でも別に困っているわけではないようだ。 僕はこの子を可愛いと思えるだろうか。そればかり…

年老いた女がぼくに向かって言う。 お前は決して幸福にはなれない、と。 ぼくは何故か訊く。 すると彼女はぼくに言う。 お前は変態だからだ、と。 ぼくは思う。ああ、そうか。今まで幾度と自身を自身で罵倒してきたが、どうもしっくりきたものがなかった。そ…

高尾山で見た赤い首

あの日、私は高尾山を登った。友人とイボタガという実に美しい羽模様をした蛾を見に行ったのだ。登る途中とても耐えられなくなって吐いてしまった。私はその瞬間嘘偽りなく死んでしまいそうだったのだ。死ねという言葉が脳に響き渡り消えるところを知らなか…

気配

死後も気配は残り続ける。 机の上に物があったり、扉が開けっ放しになっていたりするとアッと思う。二階から一階へ降りる時には足音に注意を払う。愛しいあの子が目覚めてしまわないかと。 それからすぐに思い出す。もう関係なんだ。この姿は正しいんだ。そ…

審判

二人の男がいた。 一人は幼少より神経質のきらいがあり人より能力も劣っていたが心優しい男だった。彼は子供の頃に大人から酷いことばかりされてきた。それも決して口にすることも憚られるような類の非人道的なものだった。そういった過去から彼が神経質にな…

ある老人の目覚め

男は大手企業の新入社員で周りからも期待されている。彼の両親は他の世の良識のある親達と同様彼をこの世で最も愛していて、この子の幸福のためなら命を瞬時に捨てることもできる。彼には学生時代から交際している優しく美しい恋人がいてじきに結婚を申し込…

クズ

気付いた時にはたくさんいた友人が僅かになっていた。 何故? 分かってるくせに。お前の身勝手さ故だろう。 自分にとって正しいことをしていたつもりが実際のところ誤っていた、なんていつまで言い訳するつもりだ。 自分のことしか考えていなかった。理由は…

私は悪夢を見ている 目が覚めたらあの人がいる そしてホッとする 何故なら今まで見てきた無数の悪夢は全てその性質を孕んでいたからだ

躁鬱病分析

私には鬱がある。想えば幼少の時分から鬱病の気はあったが、開花したのは高一、高二の時分であろう。あの頃は自分が世界で一番嫌いでカス同然だと思い、同時に矛盾して親しみのない他人を皆自分以下だと思っていた。(今もか?) そんな私だが、最近になって…

私がアメリカ人だったら

アメリカに産まれたかった 子供の時分からよくそう思った 俺が不幸なのはこの国のせいなんじゃないかって、根拠なんて特になく国のせいにしていた 母国語が英語だったら他の国にも気軽に住めるしそれで幾らでもやり直しが効く 糞みたいな固定観念なのは分か…

私の性分について

人と集まると毎度のことながら、嗚呼またやってしまった!と思う。この嗚呼またやってしまった!がどういうことかと言うと私が偉そうにお喋りをし過ぎる、これに尽きる。 現実の知り合いなら誰もが納得するであろうが、私ほどよく喋る人はそういない。私は自…

沢蟹

一周忌の墓参りを終えた帰り 突然クシャッと足元で何かが爆ぜた 靴を上げると大きな沢蟹が潰れていた 横には小さな水路が流れていたのでそこに居着いていたのか 屈み込み蟹を見つめて1か0か考える 蟹は0であった 私が殺したのか、それとも死んでいたのか 崩…

一匹の黒い雄犬の死

今、時刻は朝の五時、私の目の前で消えかけの蝋燭が燃えている。 この蝋燭は犬の祭壇に設けられたもので、珍しく早々に眠り落ちた私だったが、明け方に目が覚めてからこれを眺めている。かなり長い一本であったが、間も無く消える。これを書いている間に消え…

自殺について

カミュが以前このようなことを書いていた。結局のところ人生で最も重大なことは一つ、それは自殺するかどうかだ、と。 自殺について考えることは私の日常だ。私にとってサラリーマンが仕事から帰ってきて呑む一本の缶ビールぐらい日常的だ。 別にそれは何も…

危篤

今うちの愛犬が死に掛かっている。 この黒い雄犬は19年も生きている。 ようやく19歳を迎えたが、一ニ週間程前に母から今まであった食欲が格段に落ちたとの報があり覚悟するよう伝えられていた。 そして今日、自宅にて母から彼の危篤の報を受け急遽郷へ帰るこ…

殺人と食人について

インソムニアで眠れないので綴る。 危険思想と言われたら話は終わって実に面白くない。面白くないだけなら構わないが私はこの問題に地球上で脳の最も発達した種としてより真摯に向き合う必要があると常々思っている。でなければ頭がデカいだけで実は空っぽそ…

奥多摩町日原紀行

私たちは車で奥多摩町日原を目指した。かなり前に日原を友人と一度散歩しておりその時の良い印象が強く同じ友人と再び日原を目指した。 途中、山間の峠で一軒のパチンコ屋を見つけた。パチンコに興味も経験も全くない私と友人であったが、峠にあるろくに客の…

昭和44年の楠

「俺はベトナムに行こうと思う」 昭和44年の昼下がり、大学の食堂、私が日替わりのメンチカツ定食を頬張っていると吉野がそう口にした。私は止まることなくマカロニサラダの横に置かれた安っぽいパスタに箸を伸ばした。ただ確かに悲しみの水滴が一滴白い和紙…

尾崎豊「傷つけた人々へ」を聴いて

尾崎豊に「傷つけた人々へ」という曲があり、久し振りにこれを聴いた。 昔愛用していた紫色のウォークマンに入っていたのだがそいつの調子が悪くなり全く使わなくなると、この曲を思い出す機会も必然なくなり私の記憶から消えていた。 そして先日、偶然にも…

酒に殺される

最近は酒に殺される夢想をすることが多い。 これまで散々酒に頼ってきた。いや、これでは酒に対して失礼、助けられてきたとも言っていい。酒に助けられる、しかし助けられた分だけ酒に借りができるのが道理というやつだ。その酒がある日、私のところにやって…

青い日本

青い日本などと題したが何も政治的な思想を吐露する記事ではない。私は日本がまだ青い(未熟)などと言えるほど成熟してはいない。 キタノブルーという言葉がある。 北野武の映画では映像に青みを少し載せていて画面全体が常に少し青い。それを表す語だ。 こ…