The Cuckoo's Nest

幽遊自躑に暮らしております。https://twitter.com/Wintermoth1934

インド紀行④

アフターダーク、ホテルにて)

ガイドはスヌープドッグと目つきがそっくりで一緒の理由も分かった。
彼は30代の男性で、俺からすると全てのインド人男性は我々日本人から見れば老けて見える。老人に年齢を聞いて50代のことも多い。


いつも笑顔のガイドが今日初めて俺に怒った。彼が、また乗り継ぎでデリーに来るならその時も会おうぜ!と言ってきたのに対し俺が「1日だけで時間もないしバタバタするからごめんね!」と断ったからだ。
その時は別に普通だったが少し経ってから、マイフィーリングイズベリィバッド!とはっきり言ってきた。俺たちは友達じゃなかったんだな!と。悲しいよ俺!と。嘘でもまた会おうって言っとくべきだったなぁ確かに失礼だったかなぁと反省した。彼はこの数日で分かったが良い奴だと思う。高額のチップ欲しさにこのサービスを提供してる可能性も捨て切れないが、どうやら彼の良い人格もそこには確実に内在していると思う。
その後、彼と仲直りした。必死で彼への愛を訴えて謝った。インド人はこういう日本人なら忌避する分かりやすい言葉を寧ろ好むようにさえ見える。あれだけ怒っていたが、驚くほどに彼の怒りは後を引かず消えた。俺にはインド人がまだよくわからない。

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(彼が教えてくれた最高のパコラ屋、行列ができる人気店らしい。実際かなり美味かった)


山上にあるブラフマンの妻を祀るお寺を見た後、彼が言った。「いいか、1番が親、2番が神、3番はその他の全てだ。これはヒンドゥー共通の考えだ」と。俺は1番はてっきり神だと思い込んでたので驚いた。念のために確認したがこれは彼だけの考えではなく、ヒンドゥー教徒なら皆こう考えるらしい。理由は命をくれたのは親で、今ある人生は親のおかげらその行いは神すら勝るとのことらしい。寧ろ親は神に等しい、親があってこその神というわけだ。
彼から聞くところによると、インドはパキスタンと中国に攻撃したことはないけど、向こうは攻撃してくるとのこと。彼は強い言葉でこの問題について非難していた。

理由は全て、考え方の違いにあるらしい。彼曰く、ムスリムパキスタン側)は、1番が神、2番目が親、3番がその他と考えている。しかしヒンドゥーその他近寄った宗教のジャイナ教や仏教は、1番が親、2番目が神、3番目がその他。この違いが攻撃性の違いを産んでるとのことだ。宗教国ならではの視点で実に興味深かった。

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ブラフマンの奥さんの寺院にいた甲虫とハヌマンラングール。写真はないがスカンクのような見た目の哺乳類も目撃した)


ついでに今日は我が国の英語の学習の問題についても勝手な意見を書こうと思う。根拠はないので適当に聞いて欲しい。俺は学生時代、英語はからっきしダメで最低の低だった。しかし不思議なことに俺はいま毎日英語のみで全ての会話をして結構な意思疎通を可能にしている。これは俺の人生において初めての経験で大変驚いている。理由は一つ、生きるための英語だ。色々批判はあるけど、今日ほど確実な下地を作ってくれた日本の英語教育に感謝した日はない。
生き抜くための英語ほど学べるものはないことが分かった。日本人が英語を苦手とするのは、全てここに起因してるのではないか。インド人はどんな奴もフランクに英語で話しかけてくる。彼らのほとんどはまともに学校などへ行ってもいないが事実話せる。それは旅行者たち相手には英語が最適で、英語を使いこなせなきゃ金が手に入らない、ぼけーとしてたら餓死するからだ。あとインド人はシャイな奴が少ない。生きるための英語、シャイじゃない国民性、英会話の発達にこれは大いに関係していることがこの旅で分かった。


ちなみにこれを書いてる隣にガイドの彼がいて時々、何書いてるの?と聞いてくるから、今日の体験が最高だったって友達に話してるんだよって答えている。
なんだか毎日思うけど難しい。世界も人も難しいよ。

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