The Cuckoo's Nest

幽遊自躑に暮らしております。https://twitter.com/Wintermoth1934

冬の深夜ベランダで洗濯物を干す瞬間

冬の深夜にベランダへ出て洗濯物を干しているあの瞬間が好きだ。

深夜なんて、ましてや冬の深夜なんて寒過ぎてコンビニにホットスナックでも買いに行かなきゃ外へなんか出ない。

でも洗濯物が出来上がると放置して臭くなる前に否が応でも窓を開けベランダに出て洗濯物を干さないとならない。

洗濯機がピロピロ鳴ると、嗚呼これから干さないとならないのかと少し憂鬱になるけど、外へ出て冬の凛とした心地良い冷気に当てられると何だか全て許せてしまう。

日中は人の往来が程々にあるこの町だが、夜になれば他の町と同様に静まり返っている。時折歩いている人を目にすると洗濯物を干しながら、何でこんな時間に外にいるのかなぁなどと思いを巡らす。歩いているからランニングでもなさそうだし、飲み屋の帰りでもなさそうだし、はたまた仕事終わりでもなさそうだと一層何でこんな時間に?という思いが強まってしまう。だからといって深く考え込むこともなく結局は洗濯物を干す片手間である。

ベランダに洗濯物を干していると猫もいつの間にか外へ出て室外機の上に座っている。室内飼いの我が家の猫はこんな時にしか外に出れず実に哀れな奴なのだ。

イケナイデショと言って家の中へぐいぐい押し込んでもいいが、一緒に冬の夜を楽しんじゃうかなどと思って猫をそのままにしてやる。猫は室外機の上で目を細めて全身で冬の寒さと外の音を聴き入っている。

洗濯物を干し終えるといつも少し町を眺める。こんな日に外で吸うゴロワーズは好きだったななんて思いながら夜の町を眺める。

何度も見た景色だけど、毎回全然気持ちが違う。