The Cuckoo's Nest

幽遊自躑に暮らしております。https://twitter.com/Wintermoth1934

そっと撫でる

今日ある映画を見て言葉にできない感情が湧き起こった。心が動いたといっていい。いや、心をそっと撫でられたか。こういう映画は何十本も見て一つ、縁がないと短い一生では出会えない。友人に勧められた作品なので彼には感謝しかない。

生きることは苦しい。苦しければ誤魔化すか発狂するかあるいは生来のお調子者でいるしかない。私は生来のお調子者でもないし未だ狂人でもないので、生き物と芸術がなかったらもうとっくに自殺しているだろう。

人との愛や交流は生きる原動力にもなるが時に命を奪うこともある諸刃の剣だ。少なくとも生き物と芸術は私に一方的に生きる原動力を注ぐ。つまり安心して付き合えるってわけだ(いつぞや似た話をしたら裏切らないだの裏切るだのという話は非常に嫌いだとある人に言われたことを今ふと思い出した)

私には辛うじて生き物と芸術がある。じゃあそれがない人は? 人との関係で狂い、それでいてガソリンもない。そんな人たちが電車に飛び込んだりロープを首に結び果実の振りをするのか。

私はどれだけ不幸でも意識的に人を呪わないようにしている。これは私のモットーだ。呪うのは世界の秩序にする。神は信じていないから、何かな、何を呪っているのだろうか。「自然」という語がやはり日本語では一番ニュアンスとして近いような気はする。

作家のカミュがこんなことを言っていた。人の最大の問題は、自殺について、これに尽きると。全く私もそれには同意だ。