一炷香

幽遊自躑に暮らしております。https://twitter.com/Wintermoth1934

精神的弱者のための禁煙法

追記(2024年2月18日記)

よくよく考えてみればアル中同然の私が煙草の批判などできるわけが毛頭ないので以下の文は塵同然でございますが記念に残します。どうぞお笑いになって下さい。

 

 

煙草は辞めた。

煙草辞めたのである。

趣味に金を注ぎ込み酒を鯨みたいに飲んで煙草も吸っていたら、待っている未来は生物的・経済的な死のみである。

実際のところ精神が薄弱な者は完全に何かへの依存を断ち切ることはまず無理だ。なので他に少々(少々か?)依存してしまうことはもはや仕方あるまいと私は思っている。

 

かつての私は本当に異常で煙草が吸いたくて堪らなくなってしまうと悪いと思いつつダメな所でも隠れて吸った。

しかし吸っても気持ち悪くなるだけ。喫煙欲求がなくなっただけで全て最悪だった。

毎日ロメロのゾンビみたいな顔で煙草を吸っていて完全に依存症、まさしく病気であった。

 

ただ私はこうして煙草は辞めることができた。人に誇れることはあまりないが、これは珍しく素直に人に誇れる。

煙草を辞めて生活が全く良くなった。日々嫌なことばかりだが、その数多い嫌なことの内一つが確実に去ったのだから嬉しい。特に嬉しいのは朝の一服のために10分ばかり早起きしなくて済むこと。そして家を出る時に脅迫的に火の不始末の心配をしなくて済むこと。そして極め付けは外で煙草を吸いたくなって喫煙所を探してオロオロしないで済むこと。外出した時に喫煙を考慮しなくても良いことは素晴らしい。どれだけ煙草に生活を縛られ無駄な時間を費やしていたかが禁煙してよく分かった。いやはや禁煙は素晴らしいものですよ。しかしそれには禁煙に成功しないとならん。哲学者のシオランは幾度も禁煙に失敗して苦しんだという。禁煙はシオラン的精神を持つ我々にとって極めて難しい。

 

度々人に禁煙の話をしてきた(一方的に)が、ここでそれを書き起こしまとめることにする。こんな意味のない街の落書き同然のブログもようやく世間様に役立てる時がきたわけだ。

 

まず大前提として酒や煙草はドラッグだということは分かって欲しい。合法のドラッグだと思って欲しい。

よく非喫煙者が煙草を吸っている人間を馬鹿にする様子が近年見られるが、実はその馬鹿にしている人も似たようなことを経験しているので実感として分かって欲しい。下品だが私はよくマスターベーションに例える。それも思春期の頃のマスターベーション、それを禁じられたらイライラするし集中できなくて辛いでしょう。喫煙者が煙草を吸う理由もそんな感じで、それぐらい煙草を我慢することは辛い。

 

私の手元に一冊の古本がある。

題は『たばこ』

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昭和6年発行の本でその名の通り煙草について書かれている。世はまさに大喫煙時代、愛煙家たちのカッコよくて渋いエッセイでも書かれてるかと思うがそうではない。内容は煙草の悪口、ニコチン中毒の恐怖、抜け出し方の伝授である。全てそういう内容。お分かりだろうか? クラシックでダンディなイメージのある煙草だけど、まさにそのクラシックでダンディな時代にも煙草の問題に気付いている紳士たちもちゃんといたわけです。まあこれは雑談です。

 

百害あって一利なしの代名詞とも言われる煙草だが、いやいや、一利もなければ誰がこんなに吸うもんですか。

煙草のメリットを挙げるとするなら、①仕事中に楽しめる唯一のドラッグ②ファッションとの親和性が高い

それぐらいか。他には何一つない。

ここにリラックス効果を挙げなかったのは、煙草はマイナスをゼロに戻す作業に他ならないからだ。喫煙者になることはゼロをマイナスにすることであり、煙草を吸うことでそのマイナスをゼロにする生活に身を置くことに他ならない。

しかも最近ではファッションとの親和性も疑問視されてるからその限りではない。

こうやって見るとメリットなどまずない。しかしメリットがないことなど大体の喫煙者は気付いてます。このメリット云々の話は一応したけど喫煙者にとってはどうでも良いし意味のない話だ。最初こそカッコよくて吸っていた人も最後には中毒だから吸いたい、理由は大体それだけになる。

では何故、煙草がこれほど世界に普及したか。それは、①強烈な依存性②汎用性の高さ③社交に有効の3つだと私は考えている。最近は、大麻などと比較する声もよく聞くが、同じドラッグでも性質が全く根底から違っていて比較するべきではないわけです。

 

さて本題に移るが、禁煙の秘訣を聞かれたら私から言えることは一つ、環境を変えること、それしかない。

悲しい事実だが、すでに中毒になってしまって心が弱いと自覚する者は環境を変えないとまず辞められない。

初めに冷静になって自分は毎日何が苦しいのか洗い出して欲しい。人それぞれだろうが、よくあるのは仕事か家庭だ。なのでこれはもう仕事を辞めるか家を出るか、それしかない。それをしない限りいくらでも言い訳して煙草を吸います。中毒者は常に理由を探して煙草を吸うので、ストレス環境から抜け出すしか方法はないです。

それができたら苦労しないわ!と仰る方もいると思うが、これが最も効果があると私は行き着いた。あるいは、依存症は病気なので、病院に病人のつもりで行くしかない。私はしたことないが、これは良いと思う。

 

あと嘘はつきたくないので明記するが、煙草は麻薬と同類のものなので、禁煙に成功しても生涯煙草を吸いたくなる時は度々ある。完全にゼロということはないから、これはもう一度手を出してしまった以上仕方ないことだと諦めるしかない。大体なぜ禁煙者が再び喫煙者に戻るかというと、理由は脳が煙草の味を決して忘れないからに他ならない。イライラした時にすぅ〜と気分が落ち着くあの感覚、あの気持ち良かった記憶は脳から生涯決して消えません。だから覚醒剤と同じようなもので、一度手を出してしまったらまあ終わりなのです。だって、煙草の味を知らなかった頃はそもそも何が良いのか知らなかったわけでしょう? だから禁煙してもあの頃に戻ることはもう二度とできないのです。これは事実なので言っておきます。

あと、煙草を辞めたらその依存先が、酒、ギャンブル、女などに移る可能性は高い。喫煙していた時よりもそれらにのめり込む様になったら注意です。一番マシなのは趣味に注ぎ込むことかな。これも必ずしも良いことではないが、酒、ギャンブル、女よかぁ良いでしょう。

 

よくある禁煙本のように私は無責任なことは言えない。どうしたって煙草は辞めれないことも全然ある。しかしどんなに依存してても辞めることができるのもまた一方の事実。

一度禁煙のために生活環境を変えてみるのは良いと思う。それは煙草の良し悪し以前の問題であなたの人生が豊かになるから。その時は煙草に感謝する日が来るかもしれない。

 

 

※これは弱者のための禁煙方法なので強者の方はその限りではない。